2002年に誕生したPirelli Diablo (以下、ピレリ ディアブロ)シリーズは、バイク用高性能タイヤにおけるピレリのパフォーマンスとテクノロジーの両立を目指した優れたタイヤシリーズであることは言うまでもありません。
2008年、ディアブロシリーズにRosso(以下、ロッソ)がファミリーに加わりました。ロッソシリーズは、主に公道でのスポーツ走行をターゲットに作られています。
2021年7月に日本国内で発売されるロッソシリーズの最新作、ロッソⅣ(ロッソ クワトロ。以下ロッソ4)について、海外では2月に発売されています。
どんな進化が体験できるのか、インプレをご紹介していきます。
早速、見ていきましょう!
- ロッソ3から全方位で進化を遂げたロッソ4
- 大排気量向けは5つのゾーンごとに最適なシリカ配合を実現
- ロッソ4のプロファイルはSBK譲り
- 走り出すと同時に機能し、バイクの個性も生かしてくれるロッソ4
- ロッソ4のサイズ展開
- あわせてよみたい
ロッソ3から全方位で進化を遂げたロッソ4
既に海外では発売されており、様々なテストや分析評価がされています。
ロッソ3と比較をしたチャートがこちらです。(ロッソ3:黄色、ロッソ4:赤)
全面的に赤のロッソ4が進化しています。
特に、ハンドリングに関しては最高評価。
更に、NEW(新品)とUSED(使い込んでいった時)がわざわざ別の指標で示されていて、評価が一定であることからもハンドリング性能に関してはタイヤが減っても落ちない自信があることが期待できます。
もともと、ロッソ4の立ち位置としては、公道でのスポーツツーリングからサーキット走行です。
公道で求められる耐久性、熱サイクルへの耐性、最初の数メートルからの信頼性、ウェットグリップ、予測可能性、快適性などと、レース用のサイドグリップ、敏捷性、最新のハイパースポーツタイヤのパワーに適した推力値などを兼ね備えたタイヤです。
更にピレリによると、ロッソ4は燃費性能、ウェット・ハンドリングも良いと断言しているそうです。
どのように作られているか
すべてが新しい:素材、構造、プロファイル。
ピレリは、スーパースポーツからビッグネイキッド、アドベンチャーバイクまで、デザインも性能も異なるさまざまなバイクに対応するために、フロントタイヤのトレッド部を3つのゾーンに分け、2種類のコンパウンドを使用してロッソ4を開発しています。
約35°のリーンまでは同じコンパウンドを使用し、コーナリング時に均一な走行感覚がえられるようになっています。もちろん、サイドウォールはより一層ソフトなコンパウンドで、シリカを多く含んでいます。
190/50サイズまではデュアルコンパウンドで、ロッソシリーズで見慣れているキャップ&ベースパターンに基づき、最も硬いコンパウンドであるフルシリカがベースに位置し、中央のバンドに現れることで、素早いウォームアップと高い走行性を実現しています。
サイドのコンパウンドは、同様にシリカの含有量が多く、より柔らかい。
ここでは、0度のスチールと剛性の高いレーヨンコードで構成されており、同時にロッソ3よりも20%少ない密度で配置されています。
これにより、ラバーのためのスペースが増え、フィーリングとドライビングの精度が向上しています。
大排気量向けは5つのゾーンごとに最適なシリカ配合を実現
190/55サイズより大きなもの、つまり大排気量かつ高性能なバイクに装着されるサイズからは、トレッドが5つのゾーンに分割され、3種類のコンパウンドが使用されています。
コンパウンドの1つは、ウェット路面でのウォームアップとケミカルグリップを保証する、シリカを多く含む硬めのセンターコンパウンド。
もう1つはセンターコンパウンドよりも柔らかい中間のフルシリカコンパウンド。
そして最後に3番めのコンパウンド、ショルダーコンパウンドは100%カーボンブラックで、耐久レースで使用されているディアブロ スーパーコルサSCコンパウンドを採用しています。
ここでもキャップ&ベースパターンが採用されていますが、構造も変わり、3フィラメントのリヨセルとなり、変形率が低く、現代の大排気量スポーツバイクやビッグネイキッドバイクの200馬力以上のパワーがタイヤに加わっても安定した走行と前へ進む推進力を発揮します。
ロッソ4のプロファイルはSBK譲り
ピレリは、SBK:ワールドスーパーバイクで培った経験を生かして、マルチプロファイルを採用しています。
中央部分はコーナーや方向転換の際のバンクを容易にするために鋭利な形状になっています。
サイドはスロットルを全開にしてコーナリングする際に最大限のグリップを得るために小さなカーブになっています。
なお、200/55サイズのロッソ4は、ロッソ3と比較して、操縦性とコーナリング時のグリップを確保するために、中央部が10mm高く、側面部が約9mm広くなっています。
ロッソ3と比較すると、ボイド比が異なっています。稲妻カットを維持しながら、フロントタイヤでは、35度のリーンアングルを超えたところでタイヤを滑らせるために、ボイド比を約30%減少させています。
リアタイヤでは逆に、中央付近でボイド比を減少させ、均一な消費量と摩耗したタイヤの挙動を促進しています。
結果、ロッソ3からロッソ4に変更したことで、サーキットタイムが大幅に向上しただけでなく、ウェット性能やブレーキ性能も大幅に向上しています。
走り出すと同時に機能し、バイクの個性も生かしてくれるロッソ4
わずか数m~10数mのウォームアップで、前後のタイヤが機能していることを感じることができ、最初のコーナーではしっかりとグリップ力を得ている状態になると言っています。
そしてあたたまるにれて、徐々にロッソ4のパフォーマンスや安全性を100%引き出すことができるようになります。
そしてもう1点、ロッソ4のテストで分かった大きな特徴としてロッソ4は装着したバイクの特性を消すようなタイヤではない特性を持っています。
例えるなら、ホンダのCB1000Rやドゥカティのスーパースポーツ950のような異なるバイクをオナジカンジにしてしまうのではなく、むしろハンドリングや個性を一層高めてくれます。
ロッソ4は前へ押し出すようなフィーリングや、コーナーでは積極的に曲がることができるよう誘ってくれるような動きをします。
公道上では緊急時の操作さえも補助してくれるような正確な走行ラインを確保しやすく、路面があまり良くない状況においては、グリップの状態を忠実にライダーへ伝えてくれます。
1つだけ言っておくとすれば、大きいサイズではロッソ3よりも少し硬めの印象を受けたことを添えておきます。
サイズ展開の広いロッソ4は全てのライダーにおすすめできる
ピレリのディアブロ・ロッソ4は、サーキットではまさにスポーツ走行にふさわしい性能を発揮します。
スポーツツーリング、高速道路などの高速域、サーキットでのスポーツ走行と非常に幅広く活躍してくれるロッソ4の欠点は現時点では見つかりません。
最初に出てきたように、使い込んでもハンドリング性能が落ちない特性もあり、非常にすぐれています。
日本での発売、待ち遠しいですね。
ロッソ4のサイズ展開
フロント
110/70 r 17 m/c 54 h tl q4 2021
110/70 zr 17 m/c 58w tl q3 2021
120/60 zr 17 m/c (w) tl q3 2021
120/70 zr 17 m/c (58w) tl q1 2021
120/70 ZR 17 M/C (58W) TL (C)準拠 CCC 2021年Q4
リア
140/70 r 17 m/c 66 h tl q4 2021
150/60 r 17 m/c 66 h tl q4 2021
150/60 zr 17 m/c 66w tl q3 2021
160/60 zr 17 m/c (69w) tl q1 2021
180/55 zr 17 m/c (73w) tl q1 2021
180/55 ZR 17 M/C (73W) TL (C)準拠 CCC 2021年Q4
190/50 zr 17 m/c (73w) tl q4 2021
190/55 zr 17 m/c (75w) tl q1 2021
200/55 zr 17 m/c (78w) tl q1 2021
200/60 zr 17 m/c (80w) tl q4 2021
あわせてよみたい
ロッソ3が安く購入できるようになることが想定されます。ロッソ3も要チェック
参照:https://www.moto.it/news/pirelli-diablo-rosso-iv-prova-completa.html