働き方改革と言えばテレワークと残業抑制。
どこに言ってもテレワークを聞かない日はないぐらい毎日のように聞こえてくるキーワードです。
テレワークに対しての期待値は非常に高いものになっています。
上司から働き方改革でテレワークだ、生産性を上げろと言われてもどうしたら良いのかわからず困ってしまいますね。
テレワークとは
テレワークは次のように定義されています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
世間一般では、会社のオフィスの外で働くことをまとめてテレワークと呼んでいるような傾向がありますが、実はもう少し細かく定義されていて仕事をする場所によって4つに分類されています。
- 在宅勤務
- モバイルワーク
- サテライトオフィス勤務
- 通常のオフィス勤務(テレワークではない)
在宅勤務とは
自宅に居て、会社とは電話・FAX・情報通信技術を使いながら働く。
オフィス勤めではなく、基本的に家で業務をする働き方を示します。
モバイルワークとは
オフィスからでて目的地へ着くまで、および目的地でもICTを使って(システムが利用できる状態で)働くことを示しています。
サテライトオフィス勤務とは
いつものオフィス以外のオフィススペースでPCなどを利用した働き方。
社内LANに接続できる専用のスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設がある。
通常出勤する拠点以外での勤務をここに含める場合もある。
通常のオフィス勤務とは
いつも出勤している拠点での通常勤務。
このように場所に応じて4つのスタイルが定義されています。
また、誰でもテレワークが最適なのではなくて、テレワークが推奨されている人物像も定められています。
現時点で一旦、上司の言葉を読み解き直すとこうなります。
ITを活用してオフィスという場所、定時内という時間に縛られることなく働ける環境を用意せよ。
さすれば働き方改革は達成され生産性が上がるはずだ!
こういうことになりま・・・・せん。
どんな職種の、どんな仕事をオフィスの外でやることで生産性が上がると言えるのかがわかりません。
外でEXCELファイルが見れたら働き方改革なのかと言われたらYESでしょうか、それともNOでしょうか。
この回答次第です。
テレワーク活用推奨の人物モデル
テレワークの活用が推奨される人物・職種のモデルが定義されているのをご存知でしょうか。
・妊娠・育児・介護などの理由、身体障害、あるいはケガなどにより、恒常的または一時的に通勤が困難な人:常時在宅勤務主体(ほぼ毎日在宅勤務)
・企画・総務・人事・経理などの管理部門、研究・開発部門の人:部分在宅勤務主体(週に数日在宅勤務)、出張時のモバイルワークも適する。
・営業やSE、サポートサービスなどの顧客対応業務の人:モバイルワークが主体、部分在宅勤務も適する。
どんな人の業務がテレワークに適していると言われているのかがわかります。
上記にない設計や開発部門の方を対象にテレワークで生産性向上!というのは効果が上がる想定はされていないことがわかります。
テレワークで効果が出そうな職種・状況を明確にしたほうが良いでしょう。
続いて、「いつ」「どんな仕事」をテレワークでするのかです。
「いつ」はテレワークを実施する人によって異なります。
育児中の人は子供を、こども園に預かってもらっている間と寝かしつけた後(20時ぐらいから)だったり、介護中の方はお世話になっている施設に被介護者が出かけている間だけだったりします。
もちろん営業職が、オフィスから客先へでかけて、客先とアポとアポの間にモバイルワーク出来れば良いとする考え方も良いとされています。
つまりテレワークをする対象者によってことなります。
最後は、「どんな仕事」をするのかです。
なんでもかんでも全部、オフィスの外でできるようにするというのは技術的なハードルも高く、出来ないこともあるかもしれません。
結果、テレワークのトライアルに踏み切るのにさえ数年かかるような事が起きてしまいかねません。
テレワークの対象として考えた人たちの「どんな仕事が」社外で出来たら楽になるでしょうか。
例えば、営業事務の方がテレワークをしようとしたら、見積書・注文書・契約書にはどうやって押印するの?原本保管はどうするの?スマホで写真撮ったらいいの?法務部とのやりとりは電子データでいいの?などと、具体的にどうするのが良いかを考えるというタスクがでてきます。
これが重要であるとされています。
がむしゃらにすべての業務をテレワークで対応することは難しいのです。
必要があり、効果があり、実現可能なものを見定めてテレワークの検討を進めていくのが良い方法です。
そして、定めた業務をテレワークで対応する時になってようやく、ITによる問題解決(ソリューション)が登場となります。
テレワークの対象となる人、場所、時間、業務が具体的に決まってこそ解決策の検討が進むというわけです。
一度繰り返しになりますが、一気に全ての業務をオフィスの外でできるようにするのが難しいということを共通認識にしておきましょう。
段階的に開始していくのがスタンダードであることを予め理解しておきます。
テレワークの取り組みを始める前に考えること。
必要があり、効果があり、実現可能なものから優先的に進めることが重要でした。
テレワークが本当に効果があるのかをもう一度考えましょう。
次のように考えると検証することができます。
人
- テレワークで勤務したい(させたい)のは誰?職種は?
- →それはなぜ?
- →テレワークで改善できるの?(YESのみ次へ)
- →その人がテレワークできると経営課題の解決に役立つの?(YESのみ次へ)
- →その人を対象として考えてみましょう
業務
- テレワークでさせたい業務は何?
- →それはなぜ?
- →テレワークで出来るとして、業務は回る?(YESのみ次へ)
- →そこで業務できれば経営課題の解決に役立つの?(YESのみ次へ)
- →その業務を対象として考えてみましょう
場所
- テレワークはどこでさせる想定?
- →それはなぜ?
- →その場所で働けるとして、経営課題の解決に役立つの?(YESのみ次へ)
- →その場所で働けるように考えてみましょう
上記のようにして 選定された人・業務・場所と時間を対象としてテレワークでの対応ができるかどうかの検討を進めます。
本格的に取り組みを進められる際には是非、この要件を定義するところこそエネルギーを使って決めてみられることをおすすめいたします。
ここを飛ばして、いきなり「テレワークだ!働き方改革で生産性を向上せよ!」と命じられても困ってしまいます(振り出しに戻る)。
ここで私のテレワーク活用例をご紹介
人
男性。30代後半、3人の育児まっただ中のSE(システムエンジニア)。
ITのことなら営業支援から設計・構築まで幅広く活躍(?)中。
業務
客先でのプレゼン、打合せ、サーバールームやデータセンターでの作業、
ドキュメント作成、WEB(skype)会議、各種ワークフロー、工数管理 など
場所
自宅・実家・サテライトオフィス(営業所など)・カフェ・図書館・電車・車の中
テレワークでできること
数年かけてルールと仕組みが整ってきたため、今は殆どの業務がテレワークで対応できています。
出来ないことと言えば、対面の打合せ、ハードウェアの設定など物理的に設備の必要なシステム検証、経費精算(原紙の提出)ぐらいです。
テレワークで感じる課題
顔を合わせて会話する機会が減り、チャット主体になる。
結果、チーム内への情報共有などのアウトプットが激減する。
一部の人しか書かない傾向にある。
WEB会議(skype for business)では手書きで書きながらガンガン議論したいプロジェクトとプロジェクトの谷間でゆったりしている時期に自宅でテレワークをすると、少しのんびり過ごしてしまう。
だからこそ、スキルアップに時間を費やすことを正式に認めるのが良いと感じる。
課題とは逆に、設計業務のようにギュッと集中して考えたいときは自宅でやるほうが捗る業務もあります。
社外で業務をするにあたり必要な仕組み
- メールやスケジュールが見れる
- ファイルサーバーの中の電子データが見れる
- 他の従業員とSNSやチャットでコミュニケーションができる
- 日報など活動記録の入力および報告・伝達ができる
- 経費精算や申請などワークフローの申請、承認ができる
- 積作成ができる
- 販売管理システムを筆頭に、業務システムが動作する
まとめ
誰の・どんな・どこで・いつ、を深掘りして考えていき、それが経営課題の解決に結びついているかを検討すれば効果のあるテレワークが実現できるでしょう。
こうして要件を明確に定めて進むことができればテレワークが実現できた際には指示のあったような生産性があがり、業務効率があがり、余計なコストが下がり、労働力の確保ができるような働き方改革のための打ち手となると考えられます。
働き方改革でテレワークだ、正生産性向上させろ!頼んだ。となったらまずは誰の・どんな・どこで・いつを深掘りしましょう、からスタートしてみましょう。
オフィスの外で仕事をする時は雑音が入りますのでノイズキャンセリング機能のついたイヤホンマイクはテレワークの必需品です。
普段の電話にも使えるので1つ手元に用意しておいてください。
両手がフリーになればPCで調べながら・メモをとりながら電話で話すことができるので小さなことですが生産性upにつながります。
では!