バイクに乗る時にヘルメットをかぶるのは当然のこと。
むしろフルフェイスをかぶることが望ましいというぐらいの高い意識が日本では定着しているように思います。
バイクの車種によっては半ヘルだったりジェットヘルメットだったりして耳や鼻、顎が守られていないことはあり、転倒の際にはリスクがあることは広く知られています。
ノーヘルなんて問題外。違法だし一部の危険な人しかありえない。そう考えているのが普通です。
しかし、アメリカではノーヘルが合法であることをご存知でしょうか。
今回はそんなアメリカのノーヘル事情についてのお話です。
- ノーヘルの国アメリカでもヘルメット着用率は向上している
- アメリカの合法ノーヘルの現状
- アメリカ国内、各州のヘルメット着用義務状況
- 同乗者が居る場合、ヘルメット着用率が上がることがデータから判明
- ヘルメットは頭部、頸部の保護に役立っている(当たり前だ)
- あわせてよみたい
ノーヘルの国アメリカでもヘルメット着用率は向上している
米国のバイク乗りのヘルメット使用率が過去10年で向上していることが記事になっています。
えっ、ヘルメットをかぶるは当然じゃ?と思われたかもしれませんがアメリカではノーヘルが合法な場所があります。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、全米占用者保護使用調査(NOPUS)は、アメリカにおけるバイク用ヘルメットの使用に関する全国的調査データを提供する唯一の調査機関であるとしています。
そのNOPUSという調査はNHTSAによって毎年実施されており、過去10年間の調査結果から、アメリカ全土のバイク乗りによるヘルメットの使用が徐々に増加している傾向が示されていると報告されました。
NHTSAの調査によると、アメリカ全国のバイク乗りのヘルメット使用率は、2010年の全ライダー(同乗者を含む)の54.3%から、2019年には70.8%に改善している、とされています。
改善しているのは分かるんだけど、違和感。
アメリカの合法ノーヘルの現状
ヘルメット使用率が直近の10年間で向上した結果、全体の70%になったそうです。
あれ、まだ10人に3人はノーヘル・・・とても違和感があります。一体どういうことなのでしょうか。
ヘルメット着用が義務化されている州のライダーでは特に、2018年から2019年にかけてヘルメット着用が増加したそうです。
調査データによると、ヘルメットの着用が義務化された州では83%から89.2%に増加しています。(まだ10人に1人のライダーがノーヘル!!)
その他のすべての州(特定のライダーにのみヘルメットの使用を義務づけている州)では、ヘルメットの使用は統計的にはほぼ同じで、2018年の56.9%から2019年には56.5%になっています。(10人に4人はノーヘル!)
地域別に見ると、2019年の地域別では、西部の州のライダーが最も多くヘルメットを着用しており、83.7%のライダーがヘルメットの着用を使用しています。
次いで南部が74.6%、北東部が74.1%、中西部が43.4%と続きます。
うーん、地域差があるということです。この後解説しますが、実はヘルメットの着用義務は州によって定められています。
アメリカ国内、各州のヘルメット着用義務状況
2019年の調査時点では、19の州とコロンビア特別区がすべてのオンロードバイク乗りにヘルメットの着用を義務付けています。
28州は、特定のライダーのみ、つまり、18歳未満、19歳未満、21歳未満、または同乗者のみの指導許可を持つライダーにヘルメットを要求していた。
3つの州にはヘルメットの要件がありませんでした。
すべてのライダーにヘルメット着用を義務付ける法律がある州*。
アラバマ州、カリフォルニア州、コロンビア特別区、ジョージア州、ルイジアナ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オレゴン州、テネシー州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州、ウェストバージニア州
特定のライダーのみにヘルメット使用を義務づけている州
アラスカ、アリゾナ、アーカンソー、コロラド
コネチカット州、デラウェア州、フロリダ州、ハワイ州、アイダホ州、インディアナ州、カンザス州、ケンタッキー州、メイン州、ミシガン州、ミネソタ州、モンタナ州、ニューメキシコ州
ユタ、ウィスコンシン、ワイオミング
ヘルメット法のない州(驚き!!)
2019年5月31日時点で有効、出典 全米道路交通安全局、全国乗員保護利用調査報告書、2020年6月、表 ゲイリー・イルミネン(RN) 11/19/2020
同乗者が居る場合、ヘルメット着用率が上がることがデータから判明
2019年のデータによると、同乗者を持つことは、運転手によるヘルメット着用率の増加の明らかな要因となっており、同乗者がいる場合は79.7%のライダーがヘルメットを着用しているのに対し、単独走行の場合は74%となっている。
このことから、自分以外の誰かの命を預かっていることを考えるとヘルメット着用の意識が上がることは明白です。(それでも100人に25人はノーヘル!)
ヘルメットは頭部、頸部の保護に役立っている(当たり前だ)
2018年にウィスコンシン大学医学部と公衆衛生学部が行った別の研究では、ヘルメットをかぶっていると逆に、首の怪我をしやすいという一部の主張が真実でないことを証明しました。
この研究では、ライダーがヘルメットを着用していなかった事故では、首の怪我が併発する可能性が高いことがわかりました。
ヘルメットを着用していないライダーの15.4%で首の怪我が発生していたのに対し、ヘルメットを着用しているライダーでは7.4%に過ぎず、ヘルメットを着用していないライダーの約半分であることが判明した。
さらに、ウィスコンシン・メディカル・ジャーナルに発表された研究「ウィスコンシン州におけるヘルメットなしのモーターサイクリストの死亡または障害の増加リスク」(2005年)では、「ヘルメットをかぶったライダーと比較して、ヘルメットなしのライダーは入院を必要とするか、死亡する可能性が高い」ことがわかった。
なんという恐ろしい研究結果でしょう。日本では当然であるはずのヘルメット着用が、当然ではないアメリカだからこそ分析できるだけのデータが蓄積されていると言えます。
もう少し詳しく見てみると次のようなデータも出ています。
- "ヘルメットの使用によって負傷のパターンは異なっていた。ヘルメットをかぶっていないライダーは、ヘルメットをかぶっているライダーよりも、頭部や顔面の怪我をする割合が高かった。"
- "頭部損傷は、入院患者の33.6パーセントと死亡したライダーの53.1パーセントで頻繁に発見され、ヘルメットを着用したライダーよりもヘルメットを着用していないライダーの方が頭部損傷を受ける可能性が高かった "
ちなみにこの研究は、2002年に事故に遭ってしまった2,462人のライダーのデータを分析しているそうです。
ヘルメットの重要性はもちろん理解していますが、こうやって実際の事故データを分析されると非常にリアリティがあります。
ヘルメット、かぶりましょうね。
最期までおよみいただきありがとうございました。
では、また次の記事で。
あわせてよみたい