ヘルメットの内部にはEPSという素材が入っています。
市販のどのヘルメットの中にも入っていると言って過言ではないほど、多くのヘルメットの内部には昔からずっとEPSが使われています。
EPSってなんだっけ?という方は、発泡スチロールをイメージしていただければ概ね正解です。
ヘルメット内部の素材としてスタンダードなEPSを圧倒的に凌駕する新素材が登場しました。その名はコロイド。
一体どんなものなのか見ていきましょう。
EPSよりも48%多くの衝撃を吸収する高性能
コロイドは実は、軍事用や職場用のヘルメットからアクションスポーツ用のプロテクションまで様々な用途で使われているものです。
中でも、自転車用としてSMITH というブランドでは早々にコロイドを採用した製品が2018年に登場しています。
自転車もママチャリとは異なり、かなりのスピードが出ますからヘルメットという頭部を守る装備は重要だし各社様々な製品が研究・開発されています。
コロイドは、何千本もの非常に軽量で薄肉のプラスチックチューブで構成されていて、強度を高めるために熱溶着されているものです。
拡大してみると、ハニカム構造であることもわかります。
ハニカムというのは蜂の巣を意味しており、この構造は軽くて強いという利点があり、軽いことと強いことはまさにヘルメットに適しているという点がバイク用ヘルメットに求められる性能とまさに一致しているわけです。
※EPS:発泡スチロールも軽くて強い性質があります。
コロイドは万が一、事故などによって衝撃が発生した場合、瞬時に折りたたまれて衝撃を吸収してくれる仕組みになっています。
しかも、そもそもコロイドはEPSよりも衝撃吸収性を向上させることを目的に製造されており、同社によれば、EPSよりも48%も多くのエネルギーを吸収できるとのことです。
通気性に優れている点もヘルメットに最適
ハニカム構造は見ての通り、中に空洞がある構造です。
このことから通気性には非常に優れていることもヘルメットの中の素材として適していると言えます。
当サイトでレビューしている多くのヘルメットでも通気性(換気性能)は重要視しているポイントでもあります。
価格の安いヘルメットでは特に、快適な換気性能が得にくい傾向があるのは事実です。
コロイドを採用したヘルメットが既に発売中!
実は2020年、既にThorからコロイドを使ったReflexというヘルメットが発売されています。
このヘルメットにはコロイドとMIPSが使われていて、衝撃から十分に保護されているだけでなく、脳への潜在的な回転運動によるダメージも受けないようになっています。
このMXヘルメットは当然、安全性能は高くDOTとECEの認定を受けています。
価格はグラスファイバーが395ドル、カーボンが495ドル
THOR Reflex MX Helmet - Product Breakdown
今後さらに採用が増えると思われるコロイド。
どのような製品を考えているのか、海外サイトがインタビューをした結果があり、ご紹介します。
コロイド社の今後の戦略インタビュー
Q:現在、KlimやThor以外にも、今後コロイドを使用するバイク用ヘルメットメーカーは増えていくのでしょうか?
A:コロイドの技術は多くの分野で広く採用されており、事故時の怪我のリスクを軽減するためにヘルメットの機能を向上させることができます。
特にバイクでは、どのようなカテゴリーであっても、より快適で集中力を維持することができる通気性の向上がユーザーに高く評価されています。
私たちは、非常に倫理的な成分ブランドとして、少数の厳選されたパートナーとより良い製品を作り上げることで、消費者に非常に充実した体験を提供できることを実証してきました。
私たちは現在、長期的なビジョンに沿ったパートナーと私たちの技術をさらに普及させるために、さらなる開発に取り組んでいます。
Q:バイク用防具メーカーとの間で、バイク用防具に標準装備されているコロイドのボディアーマーを提供する計画はありますか?
私たちはこの分野では、最も軽く、最も通気性があり、最も薄いプロテクターが暑さと寒さの中でレベル2の認証を取得していますが、手足の保護のためには、要求の厳しいライダーには最適な柔軟性と快適性も必要であることを学びました。
そして、四肢プロテクターも含めた完全な製品を提供しなければ、この分野で成功を収めることは困難です。
既存のソリューションはすべて発泡体(発泡スチロール)の派生物であり、分子の活性化によってエネルギーを吸収します。
これは、形状や折りたたみ可能な構造によるエネルギー吸収と比較すると、エネルギー効率の点で限定的な性能でしかありません。
私たちコロイドは、発泡体の柔軟性を提供しながら、大量のエネルギーを吸収できる可逆的な折りたたみ可能な構造に取り組んでいます。
あわせてよみたい
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
では、また次の記事で。
参照:https://www.rideapart.com/news/490446/koroyd-founder-john-lloyd-interview/